回復期リハビリテーション病棟協会第41回研究大会 in 岡山

この度、及川代表理事が、「回復期リハビリテーション病棟協会第41回研究大会」(2023年2月24〜25日)に、シンポジストとして登壇しました!

今回は、PTOTST委員会(POS委員会)企画による『在宅回復期との連携と協働』というテーマでのシンポジウムで、「回復期リハビリテーション病棟」と「訪問リハビリテーション」のそれぞれのお立場からお二人の先生と共に、参加させていただきました。

今回の学会の様子と合わせて、今後の活動について代表理事に話を聞きました。

1. 今回はどのような経緯で講演の依頼があったのですか?

 かねてより、森田秋子先生(鵜飼リハビリテーション病院リハビリテーション部長、言語聴覚士)を中心とする5名のPOSの方々と、ICFに関する書籍の執筆活動を行っていたのがきっかけでした。そのうちの3名の方がこの大会のPOS委員で、委員会企画として、ICFをベースとしたシンポジウムにしたいので参加してほしいというお誘いをいただきました。

2. どのような依頼でしたか?

 「回復期リハ病棟」に押し寄せつつある「現代社会の変容」という波の中で、このシンポジウムでは特に「回復期リハ病棟から訪問リハへの連携」の重要性について注目したいとのことでした。

 それぞれの立場のリハ職、それぞれの立場を取り巻く社会や制度というものが、「患者・利用者」にとって大きな影響を及ぼす『環境因子』であることにICFを通して着目することで、「在宅回復期」をキーワードとして、「人が生きる」という長いスパンでの本来のリハビリテーションへの「気づき」につなげたいという依頼でした。

3. 学会全体の雰囲気はいかがでしたか?

 2日間にわたって、いくつもの会場で講演やシンポジウムが同時並行で開催された大規模な学会で、しかもコロナの制限からも解放されつつある中での、久しぶりの対面での学会ということもあってか、会場全体にとても活気がありました。特に若い方々の参加が多かったように思いました。

4. 講演を行ってみての感想をお願いいたします。

 「回復期リハ病棟」と「訪問リハ」、それぞれのお立場の先生を前にして、各職場での多職種連携という「横の連携」だけでなく、「病棟」から「在宅」へといったステージを超えた「縦の連携」においても、ICFのマインドセットが有効なツールとして活用されるべきで、共通言語としての可能性を共有できたことが、大きな収穫でした。

 私は長らく厚労省の担当官としてICFの普及を使命としてきましたが、今回、改めて現場の「生の声」と交流できたことで、ICFの有用性をさらに実感しました。

5. 参加者の反応はいかがでしたか?質問は出ましたか?

 私自身は、自分が登壇するシンポジウムだけの参加でしたが、おそらく70~80人ぐらいの方が来てくださったと思います。3名の講演の後にはパネルディスカッションと質疑応答の時間も設けられ、現場の方々の切実な思いの一端に触れさせていただきました。みなさんICFをベースに回復期リハ病棟の立場で何かをつかみとろうという熱いものを感じました。

 複数人(3~4人)の方からの質問は、いずれもICFをベースにした在宅に向けての連携についてのことで、「ICFをどう使ったらよいか?」「どう指導したら良いか」との質問もいただきました。果たして的確に回答できたのか…、いささか疑問が残りますが、改めて思い返すと、一人で悩むことから、ICFのマインドセットを複数の方々で共有し、「連携」のための共通言語としてICFを再認識していただくことへシフトしていただけたらなと思いました。

 そのアプローチの仕方は、職場の状況や環境等によって様々だと思いますが、一つの「気づき」「目の向けどころ」としてのICFを見つめ直していただきたいと思います。

6. シンポジストとの議論でなにか得られたものはありましたか?

 高齢社会の真っただ中にあって、これからも押し寄せてくる波、そんな時代にリハの専門職に求められる「気づき」というものを、皆さんがそれぞれの立場や思いで模索されていることを実感しました。そして、そこにこそICFのマインドセットは必要なものであると再認識しました。

7. 回復期リハという領域でのICFの普及活動における今後の指針などあればお願いいたします。

 今後、間もなく「2025年問題」の真っただ中に突入し、社会が大きな変容を余儀なくされていく中で、回復期リハ病棟から退院後の生活期への流れの中で、人や制度といった「環境因子」がマイナスに働く壁(阻害因子)とならないように、「人として見る」という一本の筋の通った、ブレない考え方、「人が生きるということの全体像を捉える」という共通言語としてのICFを、今後も伝えていきたいと思います。

♪♪今学会での代表理事登壇場面♪♪


委員会企画6   2月25日(土)9:00~10:50


PTOTST委員会主催シンポジウム「在宅回復期との連携と協働」

座長 井手 伸二(長崎リハビリテーション病院)

   森田 秋子(鵜飼リハビリテーション病院)


ICFの過去・現在・未来 ~医療・介護の連携ツールとしての可能性~

 及川 惠美子(日本ICF協会)


活動・参加の向上・再建に向けた専門療法 ~私たちの役割・限界・協働~

 山中 誠一郎(初台リハビリテーション病院 回復期支援部)


訪問リハと回復期リハ病棟との連携の在り方

 宮田 昌司(神奈川県リハビリ訪問看護ステーションあおば)